
舩津丸 健
東京弁護士会
就業規則をはじめとする賃金規程や育児・介護休業規程など、人事労務に関する社内規程は、従業員との円滑な労働関係を築くために不可欠なものです。
現在では、厚生労働省のホームページや各種ウェブサイトで、就業規則等のひな形を容易に入手できるようになっており、独力で規程を作成することも可能ですが、企業の実態や従業員との雇用契約の内容と整合性が取れなかったり、企業の想定を超える権利を従業員に認めてしまうといったリスクもあります。
このようなリスクを回避し、労務管理の適正化を図るためにも、就業規則等は企業の規模や業種、業務実態を踏まえて、最適な形で整備・運用していくことが非常に重要です。
人事労務規程・就業規則とは?
-
人事労務規程・就業規則とは?
人事労務規程とは、企業における人事・労務管理に関するルールを体系的に定めた社内規程の総称です。採用、配置、異動、評価、昇進、退職、労働時間、休暇、給与、福利厚生、懲戒、ハラスメント防止など、従業員との労働関係にかかわるさまざまな事項を対象とします。
この中でも、就業規則は最も基本的かつ重要な規程の一つであり、労働条件の基本を定めたルールブックといえます。そのうえで、就業規則の内容を補完・具体化する形で、個別の規程を定めることも一般的です。
たとえば、給与の構成や支給方法、昇給・賞与の基準を定めた「賃金規程」、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントに関する禁止事項、相談・通報体制、対応手順を明記した「ハラスメント防止規程」などが、その代表例です。 -
就業規則とは
就業規則とは、企業が従業員とともに働くうえでの基本的なルールや制度を明文化した社内規程です。
労働時間、休憩、休日、賃金、退職、服務規律、懲戒など、労働条件や職場内の秩序に関する重要な取り決めが記載されます。労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する事業場に対し、就業規則の作成と、労働者代表の意見聴取および労働基準監督署への届出が義務付けられています。
ただし、従業員数にかかわらず、就業ルールを明文化しておくことは、トラブルの予防や組織運営の安定に大きく寄与します。そのため、小規模企業にとっても、就業規則の整備は非常に重要です。
就業規則や人事労務規程の整備が重要な理由
-
安心して働ける環境の
提供適切に整備された就業規則は、労働時間、休暇、給与、評価制度、福利厚生、ハラスメント対応など、働くうえで重要なルールを明示するものです。曖昧な解釈によるトラブルや誤解をなくすことで、社員は自らの権利や義務を明確に理解し、安心して業務に取り組むことができます。
-
企業を守るための
リスクヘッジ就業規則をあらかじめ定めておけば、法的トラブルのリスクを大幅に軽減できます。明確化されたルールに基づく公平な運用は、企業の法的な正当性を担保し、外部からの指摘にも耐えうる体制を築くことができます。
-
社内の一体感・公平性の
醸成整備された規程に基づいて運用することで、従業員間の不公平感を防ぎ、納得感のある人事評価や処遇を実現できます。これは組織全体の一体感や働きやすさの向上にもつながり、ひいては離職率の低下や生産性の向上にもつながります。
就業規則や人事労務規程の
策定や見直しを
弁護士に依頼すべき理由
-
就業規則等の策定には専門的かつ多岐にわたる知識が必要
就業規則や人事労務関連規程の策定には、多くの時間と専門知識が必要です。
参照すべき法令は、労働契約法、労働基準法、労働組合法はもちろん、育児・介護休業法(令和4年10月改正・施行)、最低賃金法、パワーハラスメント防止法、個人情報保護法など多岐にわたり、規程の内容によって関係する法令も異なります。厚生労働省やその他インターネット等にて、就業規則等のひな形を入手して、会社自身で就業規則等を策定することも可能ですが、内容が最新の法改正に対応しているか、各法令と矛盾しないかをチェックするのは非常に煩雑で、リスクも伴います。
法令を熟知した弁護士に依頼すれば、こうした法的リスクを未然に防ぎつつ、自社の実態に合った規程を効率的かつ的確に整備できます。 -
一度整備した規程の変更は慎重な対応が必要
就業規則や賃金規程などの社内ルールは、一度整備して従業員に周知されると、労働契約の一部として法的な拘束力を持つ「労働条件」として機能します。就業規則を策定後、例えば、経営悪化を理由に会社が独自に手当を削減・廃止しようとしても、労働契約法第9条により、従業員の合意なく一方的に不利益変更を行うことは原則として認められません。
将来起こりうる経営環境の変化や組織再編といったリスクを想定しながら、持続可能かつ柔軟に対応できる規程設計を行うためにも、弁護士などの専門家にあらかじめ相談することが重要です。
変更を検討する際も、法的リスクの洗い出しや必要な手続きについて専門的なアドバイスを受けることで、安全かつスムーズな運用が可能となります。
ご相談はこちら
料金
就業規則等の整備をASCOPEに依頼する場合、顧問契約を締結していただきます。
顧問契約のプランは、顧問契約のプランは、下記表のとおり、ベーシック、スタンダード、プレミアムの3プランとなっており、 各プランによりタイムチャージの単価が異なります。
ベーシック | スタンダード | プレミアム | |
---|---|---|---|
月額顧問料 ※月額無料枠に等しい | 55,000円 | 110,000円 | 165,000円 |
統括弁護士の単価 | 29,700円/h | 26,400円/h | 23,100円/h |
アソシエイト弁護士の単価 | 19,800円/h | 17,600円/h | 15,400円/h |
※プランごとの個別顧問契約一覧(金額は税込)

まずは相談ください
就業規則や人事労務に関する社内規程の整備は、企業の健全な成長と法的安定性を支える極めて重要な業務です。
企業と従業員の間とのトラブルや紛争を未然に防いだり、紛争化した場合に会社に生じるダメージを最小限に抑えることができます。
策定時点でのミスが、後の経営判断や人事対応に大きな制約を与えることもありますので、人事労務に特化した弁護士に弁護士に依頼し、法的妥当性と実務的運用を両立させた規程整備を行うことが重要です。
法律事務所ASCOPEには、労働法務に精通した弁護士が多数在籍しており、就業規則や各種人事規程の策定・見直しを支援してきました。実務に即した現実的なアドバイスと、柔軟かつ丁寧な対応で、貴社の人事労務体制の強化を全力でサポートいたします。
ご相談はこちら