事案の概要
依頼者様は派遣会社で、有期雇用として雇い入れた従業員に対し、期間満了による契約終了を告げたところ、当該従業員がユニオンに加入し、ユニオンからは、雇用契約が無期雇用であることを前提に、無効な解雇にあたると主張され、復職や退職後の給与相当額の金銭を求める団体交渉を申し入れられました。
解決策

舩津丸 健
東京弁護士会
本件では、依頼者様から従業員に対して、有期雇用を前提とする労働条件が提示されていたものの、契約書がきちんと締結されておらず、無期雇用であることを前提とするユニオン側の主張に対して十分な反論ができないおそれがありました。
そこで、弊所では、依頼者様から、雇い入れ時の従業員とのやりとりや、その後の従業員の反応について詳細に聴取し、実際の経緯に照らせば、たとえ契約書がなかったとしても、雇用契約の内容は有期雇用であるといえるという反論を立論しました。
その後、弊所は、団体交渉に同席し、上記の反論を主張してユニオン側との交渉を重ねました。ユニオン側は、あくまで無期雇用を前提とした復職を求めており、強い反発はあったものの、粘り強く交渉し、あくまで従前の雇用契約は有期雇用であったことを前提とした解決に至ることができました。
事案の概要
依頼者様は運送業を営む会社で、ある従業員を日給制労働者として採用したところ、入社早々、家族を養うために賃金が足りないため賃金を上げてほしいと頼まれたため、特別に月給制に変更するとともに手取額も大幅な増額しました。
その後、しばらくは真面目に働いていたようですが、急な欠勤を繰り返すようになり、最終的には無断で数日間欠勤するようになりました。そこで、依頼者様が本人を呼び出して厳しく注意したところ、「退職する」と言って退職してしまいました。その数日後、労働組合から突然、当該従業員の未払い残業代の支払いを求める内容の団体交渉申入書が届きました。
依頼者様は、採用の際に、1日10時間労働で、それに対して日給を支払うと説明していたこと、月給制変更後は日給制の時よりも大幅な賃金の増額をしていることから、残業代の未払いはないと考えていたようですが、労働組合から強く否定されてしまい、対応に苦慮し弊所に相談されました。
解決策

舩津丸 健
東京弁護士会
依頼者様は、当該従業員と雇用契約書を締結していなかったため、1日10時間労働に対して日給を支払うという賃金が、基本給と固定残業代を合わせた制度であったと立証することが困難でした。また、その後に日給制から月給制に変更する際にも雇用契約書の締結をしておらず、月給制においても固定残業代を支給しているとの立証が出来ず、法的にはどうしても依頼者様に不利な事案でした。
しかしながら、依頼者様は当該従業員の要望を受けて、その事情を慮り、賃金を改善してきた経緯があるにもかかわらず、このような依頼者様の対応が裏目にでてご主張が通らないことにも違和感がありました。そこで、団体交渉の場で、弁護士から当該従業員に対して、入社時の労働条件の説明内容や、月給制への変更の際のやりとりを丁寧に質問したところ、当該従業員から日給制に残業代が含まれているという説明があったと認める発言があり、月給制への変更にも恩を感じているという趣旨の話が出るようになりました。
その結果、依頼者様としても納得のできる労働時間数に基づく残業代の支払いでの和解ができないか粘り強く説得し、当初労働組合が求めてきた金額の半分程度の金額で妥結することができました。
事案の概要
依頼者様は、卸売業を営む会社で、アルバイト社員についてはタイムカードで労働時間を管理していたのですが、正社員についてはタイムカードでの労働時間管理を行っていませんでした。
依頼者様によると、正社員はアルバイト社員を管理することが主な業務であり、所定労働時間中も自由に休憩をとっていたため、全体的に見れば実労働時間は長くないという認識で、タイムカードでの管理の必要はないと思っていたとのことです。また、業務の繁忙から労働時間が長い月は、追加の手当を支給しており、それで残業代の支給としては足りていると考えていたとのことでした。
そうしたところ、当該正社員が退職間際になって、タイムカードを打刻するようになり、退職と共に労働組合に加入して残業代の請求をしてきました。
解決策

舩津丸 健
東京弁護士会
本件事案は、単純に実労働時間がどの程度であったのかが主な争点となりました。労働組合は、タイムカードが存在する期間については、タイムカードにおける始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間1時間を控除した残り全てが労働時間であると主張し、タイムカードが存在しない期間については、タイムカードがある期間と同一の労働時間があったとする推計に基づく請求をしてきました。
しかしながら、依頼者様から詳しく話を聞くと、当該正社員がタイムカードによる打刻を始める前後では、業務内容に質的な違いがあり明らかな実労働時間への違いがあることが分かりました。また、タイムカードを打刻している期間についても、実際には1日に1時間以上の休憩時間を取得していたはずであるという事情も他のスタッフの証言等からわかりました。
そこで、詳しい労働実態を依頼者様から聴取するとともに、それを裏付ける客観的な証拠を探し、団体交渉において、タイムカードどおりの労働時間であるとする労働組合の主張が正確ではない点を根拠と共に説明しました。その結果、依頼者様も納得のできる労働時間に基づく残業代の支払いで労働組合との妥結ができました。
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